常勝チームを作った落合博満元監督

期待が大きかっただけ風当たりも強かった

 22年から指揮を執った立浪監督は、現役時代にミスター・ドラゴンズと呼ばれ、ファンが待ち焦がれた監督就任だった。監督になるとチーム再建のため、ドラスティックな改革を進めようとした。二遊間のレギュラーだった京田陽太をDeNAに、阿部寿樹を楽天にトレードで放出。中軸で活躍していたダヤン・ビシエドも出場機会が大幅に減った。補強としては涌井秀章、中田翔、中島宏之など実績のある選手を獲得した。だが、チーム力はなかなか上がらなかった。

 スポーツ紙デスクはこう振り返る。

「選手の大量入れ替えでチームを変革する手法は、星野仙一さんと重なります。ただ、星野さんと大きく違った点は目指す野球の方向性を示せなかったことです。日替わりスタメンは決して悪手ではないですが、どのように得点を取るのか道筋が見えず、個々の能力に委ねていたように見えました。故障明けで万全でないにもかかわらず、岡林勇希をスタメンで起用し続け、中島が代打で機能していないにもかかわらず、ビシエドをファームで塩漬けにするなど、采配面で疑問符がつくことが少なくなかった」

 ミスター・ドラゴンズに対する期待が大きかった分、結果が出なかったことで風当たりは強まるばかりだった。今年は春先に首位に立った時期があったが、5月以降は借金生活に陥る。9月5日の阪神戦に敗れて借金が15に達し、甲子園で0勝10敗1分と屈辱な数字で終えることになると、立浪監督に退任を求める声が高まった。チームを立て直す使命感で前を向き続けてきたが、限界だった。

 ただ、育成の観点から見ると、立浪監督の功績は大きい。

 岡林勇希は22年に最多安打のタイトルを獲得し、現役ドラフトでDeNAから移籍した細川成也は2年連続20本塁打をマークして一本立ち。石川昂弥、村松開人、田中幹也、福永裕基も頭角を現している。投手陣に目を移すと、高橋宏斗は投手タイトルをいくつも狙える位置につけ、球界を代表するエースになった。共に防御率1点台と抜群の安定感を誇る清水達也、松山晋也の両セットアッパーも立浪監督が就任してから、光り輝いた投手だ。

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