問われるのは球団の本気度だ
それでも、「勝つ組織」に変貌するには至らなかった。課題は山積みだ。得点力不足が長年続いている懸案事項だが、助っ人外国人野手で近年成功したと言えるのはカリステのみ。FA補強も17年オフに大野奨太(現2軍捕手コーチ)を獲得して以来参戦していない。例年の戦力補強で目立つのは、他球団で出場機会を失った選手ばかりだ。昨オフに獲得した中田も日本ハム時代に打点王を3度獲得した強打者だが、巨人に移籍して以降は重なる故障で戦列を離れることが多く、21年以降は一度も規定打席に到達していない。
「実績のある選手を獲得したからチーム力が上がるほど簡単な世界ではありません。フロントと現場が目指す方向性を定めて、戦力補強や育成をしなければ勝てません。戦力だけで言えば、広島と大きく変わらない。ただ、広島は新井貴浩監督が就任以降、守り勝つ野球を徹底し、攻守で高い意識とパフォーマンスを見せる秋山翔吾を補強したことで優勝争いできるチームに生まれ変わった。中日も場当たりの補強ではなく、本気で優勝を目指すビジョンを示さなければ、チームを立て直すことは難しい」(名古屋在住のスポーツ紙記者)
チームが低迷しているにもかかわらず、本拠地・バンテリンドームには平日でも3万人以上の大観衆が球場に足を運び、熱心に声援を送っている。この光景が当たり前と思ってはいけない。若手が躍動する姿には期待感がもてるが、来年以降も優勝争いから遠ざかるシーズンが続けば状況は変わってくるだろう。
どのようなチーム作りを目指して次期監督を選定し、戦力補強を敢行するか。中日球団の本気度が問われている。
(今川秀悟)