東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座 講座担当教授の越智小枝氏

食べ物だけでは難しい

 また、食べ物だけでビタミンDを充足させるのは現実的ではない。

 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ビタミンDの摂取目安量は、1歳未満の子どもで5.0㎍/日、18歳以上は8.5㎍/日。ただしこれは、適度な日光浴により体内でビタミンDがつくられていることを前提としているという。

 日光浴の目安時間は日焼け止めを塗らずに顔と手を露出した場合、東京都内なら1日平均15~30分となる。

 ただし、時期や天候、地域にもよる変動が大きい。屋外には日陰もあるので、ただ散歩するだけでは直射日光に当たる時間は意外に短いだろう。日照時間の短い北欧では、真冬でも赤ん坊を外で昼寝させる習慣があるという。

日光浴のルーティン

「親子で日光浴のルーティーンをつくってもよいかもしれない」と越智教授は言う。

 越智教授によれば、あるクリニックで従業員のビタミンD値を定期的に計測していたところ、コロナ禍に数値が顕著に上がった人がいた。思い当たるところを尋ねると、「ステイホーム期間に子どもをベランダで遊ばせ、目が離せないので自分もそこでずっと仕事をしていた」と答えたという。

 ビタミンDが重要な働きをすることから、ビタミンD値を健康診断の項目に入れようという声もあがってきているという。

 あなたや子どものビタミンD値はどうだろうか。病気の疑いがあれば、医療機関で検査できる。市販の検査キットでビタミンD値を計測することも可能だ。

 子どもの健全な発育のためにも、大人の健康のためにも、ビタミンDは食事や日光浴で上手に確保したい。

(ライター・酒井理恵)

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