極端な日焼け対策は子どものビタミンD不足を招く懸念もある(写真はイメージ/gettyimages)
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 夏の日差しは強烈だ。だが、乳幼児が日光を徹底的に避けていると、「くる病」になる可能性がある。『アルプスの少女ハイジ」のクララも苦しんだという病気を、どう防げばいいか。

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「くる病」小児患者が増加

 夏の暑さは体にこたえる。体力の乏しい乳幼児を連れての外出を控える人も多いだろう。

 だが、子どもの日光浴不足が過度に進むと、「くる病」にかかる恐れがあるという。

 くる病は、カルシウムやリンの不足のために、骨がやわらかくなった状態を指す。乳歯が生えるのが遅い、虫歯になりやすい、O脚やX脚など下肢が曲がる、身長が伸びない、転びやすいといった症状が起こる可能性がある。主に1~2歳で発症するが、10歳以降の発症例もある。赤坂ファミリークリニック(東京都港区)院長の伊藤光子医師らが行った研究によると、2009年から2014年まで、ビタミン D 欠乏症またはビタミン D 欠乏性くる病の小児患者数は人口10万人あたり約3倍に増えている。

 くる病の原因のひとつといわれるのが、「ビタミンD」不足だ。ビタミンDは主に日光浴と食事から生成される。腸管からのカルシウム吸収を助け、骨や筋肉を丈夫にする働きを持っている。

 このくる病、実は古代ローマ時代から問題視されていた。ローマ遺跡から発掘した骨を調べたところ、子どもの5.7%にくる病が見つかったという報告もある。

ハイジのクララもくる病だった

 ビタミンD研究に携わる東京慈恵会医科大学の越智小枝教授は、こう指摘する。

「ビタミンD不足の人は近代化とともに増加しました。大気汚染のため日光が遮られた産業革命期(18~19世紀)のヨーロッパでは、子どもの約50%がくる病だったといわれます」

 ちなみにテレビアニメでおなじみ、『アルプスの少女ハイジ』(ヨハンナ・シュピリ作、1880年初版発行)に登場する車いすの少女・クララも、ビタミンD欠乏によるくる病だったといわれる。

 ヨーロッパではその後1920年代、食品にビタミンDを添加する動きが進んだため、くる病患者の大幅な減少につながった。

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