中学受験って、一度足を踏み入れるとなぜか抜け出しにくいのは事実です。とりあえずやってみる?程度だったとしても。魔物ですね photo 写真映像部・佐藤創紀

 親の覚悟も関係してくるのですが、「子どもには子どもの意思があって、私の意見とは違って当然」とわかっていれば、子どもが決めたことに関してはあまり口出しをせず、信じて見守ることができます。子どもが決めたことで子ども自身が失敗しても、経験値が上がるからよし、と考えることもできます。

 一方で、以前の私も含め、多くの親御さんは子どものことがかわいくて、心配の方が大きくなり、「大丈夫かしら……」という親心から先回りして、いろいろと助言しすぎたり、やらなくてもいい世話ばかり焼いたりしてしまいます。結果、子どもは自分で選び取るということができなくなります。すると、何から何まで親がコントロールしないといけなくなり、子どもはますます主体性がなくなり、意欲も低下して、自分の意見を親に伝えることをしなくなってしまいます。

 相談者のお子さんも、本当は受験勉強をやめたいのに言えなくなって、頭がいたい、おなかが痛いといって塾を休むようになり、次第に学校にもいけなくなってしまいました。

 オカンの駆け込み寺では「ことばかけ」「食事」「住環境」の観点から不登校の支援をさせていただいていますが、このケースではまず、お子さんへの関わり方をアドバイスさせていただきました。本当の気持ちを引き出すために、ことばかけを少しずつ変えていく方法です。

 いままでは一方的に親が決めたり、代弁したりしていたようなので、子どもの意思を尊重することばかけをしてもらうようにしたのです。

 例えば、「なんで塾に行けないの?理由を教えて」と聞くと黙り込んでしまうので、「算数は今どういうことを教えてもらっているのかな?お母さんにも教えてもらえる?」などと聞いて、子どもが頑張って取り組んでいることに親も興味を持つ。その上で、「へ〜、こんな難しい問題解いているんだね。すごいなぁ。結構難しそうだけど、ついていけてる?」と声をかけると、「実は算数が難しすぎてついていけないんだ」と教えてくれたりします。「授業はわかるんだけど先生が怖くて……」などと、本音が出てくることもあります。

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