モテる女とヤレそうな女をはき違えていた

 二十歳前後の私というのは、特定の人と深い関係を結ぶというのが本来的にどういう行為なのか、まだあまり理解していませんでした。周囲に男性はいるものの、自分にとって誰かが特別な存在だと思ったことも、誰かにとって自分が特別な存在だと思ったこともなく、彼氏と呼べる人ができてもたいていは短期間で関係に飽きてしまったり、何か気に入らないところが見つかったりしてすぐ別れるばかりでした。

 高校生であっても何年も同じ人と付き合い、お互いの面白さやくだらなさを確認しながら将来を考えるような関係を結ぶ人はいるのでしょうが、私はそういう成熟したところはまったくなく、恋に恋してその真似事をするのが精いっぱいだったわけです。モテる女とヤレそうな女をはき違えて、安っぽい肉体関係を繰り返していました。

 二十三歳で付き合った彼とはそれまでの恋よりは少し進んだ、一緒に暮らしたり一度や二度は将来について話したりする関係を紡いでいました。今から思うとあの時の私もまた、成熟した男性とのちょっと大人な付き合いに舞い上がっていただけとも言えますが、とにかく当時は自分がようやくまっとうな、真面目な恋愛関係の渦中にいるような気がしていたのだと思います。

 そうなってくると、自分にとっては色々と初めてのことが多いのに、相手にはすでにそういう真面目な恋愛の経験も、誰かと一緒に暮らした経験も、高い指輪を買った経験もあることがとにかく気に入らない。同時進行で何か女性の影があるわけでもないのに、自分が二番手三番手の役回りをやらされている気分になってすぐにいらいらとやつあたりをする日々でした。

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彼の元カノが憎くて仕方ないわけ