鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】Vネックの“教師姿”でほほえむ鈴木さん

Q. 【vol.19】パートナーの昔の恋に嫉妬してしまうワタシ(50代女性/ハンドルネーム「ヌノナナ」)

 私は好きな人ができて離婚をしました。新しい相手は同性です。初めて異性ではない人に恋をしました。パートナーにも一緒に住む彼女がいましたがその人と別れ、今は私と一緒に暮らしています。この先の人生を一緒に生きていく約束をし、パートナーシップの届けを出しました。

 他の人から見るとおそらく、いや確実に幸せなんだと思います。だけどパートナーの過去が気になり、過去の話に嫉妬してしまいます。それが原因でけんかをすることもあります。自分がこんなにも嫉妬深いとはこの歳になるまで思いもしませんでした。つらすぎて毎日涙が出たり眠れなくなり、こんなにつらいのならば別れようと本気で考えたこともありました。しかし別れるつらさを想像しただけで踏みとどまり、いつになっても嫉妬心の呪縛から解放されません。自分がわがままなのは知っています。どのように気持ちの折り合いをつけたらよいでしょうか。

A. 鍵は自分の過去にあるかも。

 二十三歳の時に付き合った十歳近く年上の彼に対して、過去の女性関係をどうしても受け入れられず、ひどく嫉妬して苦しんだ経験があります。どうしてそんなに人の元カノの存在が許しがたかったのか。今振り返ると、自分の恋愛経験に自信がなかったからではないか、と少し思います。自分には今でも大切に思っているような元恋人も、一世一代の恋の記憶も、思い出すだけでキュンとするような青春時代もない。その劣等感が、自分よりずっと充実した恋愛を重ねてきたのであろう年上の恋人の過去へと向かっていた気がするのです。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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年上の彼にやつあたりする日々