こんなことを伝え続けたのです。このときは、私自身も心の底からそう思っていましたので、迷いなく言い切れました。不登校に対する視点が変わり、子どもに対する視点も変わる。だんだんと、私自身も迷いや不安がなくなっていきました。近所でママ友に会っても「あ、うちの子は学校、一旦辞めて、通信制の高校に通ってるよ〜」と明るく話せるようなったんです。
そして、わが家に泊まった全盲の男性のように、家族以外の人と関わると、家の中に新しい風が吹き込むんだと知った私は、その後、自分で立ち上げた団体の仕事の打ち合わせも自宅でやるようにしました。いろいろな大人たちが、家にやってきては新しい風を持ち込んでくれて、時には長男も輪に加わったり、私が「今日はこういう人が来て、こういう話をしたんだよね」と伝えたりしていました。
「不登校になったからこそ、こういう時間が持てるし、学校に普通に通っていたら得られない情報を得られるのはラッキーなことだよね」。長男にも堂々と、こう伝えていました。以前の私とは、180度変わったのです。
私が悲壮感を漂わせたり、ため息ばかりついていたり、ということがなくなり、明るさを取り戻すと、長男の表情もほぐれてきました。親も子も、ガチガチに固まっていた気持ちが少しづつ解けていったのだと思います。親子って、不思議ですね。子どもは親の写し鏡で、親の代わりに気持ちを表現してくれているかのような存在なんだと学びました。
私はこの経験があったからこそ、次男や長女の不登校のときは、早い段階で気持ちを切り替えることができたのです。不登校って、悪くない。子どもも、若いうちに挫折を経験し、それを乗り越えることで心の筋肉が鍛えられます。
目の前で起きていること自体は変わらなくても、自分の視点が変われば道は必ず開けてきます。不登校のお子さんをお持ちの親御さんはいろいろな悩みや不安があると思いますが、そんな時こそ是非、視点を変えてみてください。
次回は7月30日配信。「不登校は子離れする良い機会」というテーマでお話しさせていただきます。