真っ青な空に白い雲。これだって、雲の下に入れば空の色は暗く、雲だって真っ黒に見えたりします
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 3人の子どもの不登校を経験し、不登校の子どもやその親の支援、講演活動などを続ける村上好(よし)さんの連載「不登校の『出口』戦略」。今回のテーマは「親の視点が変われば、状況も変わっていく」です。

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 前回の記事では、「不登校で選択肢が広がる」ということについてお話をしました。今回は、親の視点が変われば、状況は180度変わっていく、ということについてお話をしたいと思います。

 わが子が不登校になると、自分の子育ては失敗したと自己嫌悪に陥って周りに引け目を感じてしまい、「他の人には知られたくない」「人にも会いたくない」という気持ちになったり、自分やわが子を哀れに感じてしまったりすることがあります。ママ友とも次第に連絡を取らなくなり、気がつけば自分も子どもも孤立していた――。そんなお話もよく聞きます。

 私も、長男が不登校になった当初は近所のママ友に「息子さん、元気?どうしてる?」と聞かれるのがイヤで、人と会わない時間帯に買い物に出かけていました。でも、誰にも会いたくないな〜と思っている時に限って、噂好きのママ友に遭遇したりするものですよね。みなさんも、こんな経験はありませんか?

 不思議なのは、親の心の状態が子どもに伝播してしまうことです。以心伝心とはよく言ったものですね。私が人に会うのを避けるようになると、長男もだんだん、外に出なくなっていきました。

 その頃は昼夜逆転になってしまう日もあり、このままずっと部屋にいるだけだと体が鈍ってしまってよくないんじゃないかと思ったので、ランニングに誘ってみました。案の定、拒否されましたが、夜ならどう?と暗くなってから走ることを提案すると、「じゃあやってみる」と長男。家の近所で1キロくらいのランニングを始めました。1日目、2日目と走りましたが、3日目で挫折……。失敗体験がさらに積み重なってしまった、とまたそこで自己嫌悪に陥ったことを覚えています。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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