鈴木:アルムナイは社内をよく知っている“一番身近な社外のパートナー”です。アルムナイにとってメリットがある社内の情報やリソースなどを惜しみなく提供することで、組織を拡張的に捉えて、アルムナイの経験や知見を社内に取り込めるという企業側のメリットもあります。

石山:オープンイノベーションはまさにその考え方ですよね。新しいものと新しいものがつながってイノベーションが起きるのに、いつまでも抱え込んでいましょうというのでは成長は期待しづらい。

鈴木:都市部のほうが意識の変化は大きいですが、最近は地方も変わりつつあります。たとえば地域経済を活性化するミッションを持つ地方銀行は、かつては融資が主なサービスだった。でも今、重要なのはお金だけではなく情報と人。一部の地方銀行はアルムナイネットワークを自行だけのものとは考えていない。再入社しなくても、地域経済を盛り上げてほしいと。自行のアルムナイを、地域や地元企業とつなぐことで、地域に対して思い入れがある優秀なアルムナイたちと地域のハブになるんです。

石山:それはすごくわくわくしますね。こういうことが価値だと多くの人が気づき始めている。日本の雇用の特徴が今まさに変わりそうな予感がします。

鈴木:10年後にはアルムナイとはなにかを説明する必要がないくらいに変わっていてほしい。そうなっているといいなと思います。

(構成/編集部・秦正理)

AERA 2024年7月15日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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