画素が少ないので風景写真にもザラっとした質感がある(画像=ササキ氏提供)

あえて制限のあるものを好む

 もっとも、若い世代がレトロなものを好む傾向は、いまに始まったことではない。写真でいえば、デジカメ以前の「写ルンです」や「チェキ」などが過去に流行したことがある。だが今回の「古いiPhone」ブームは、これまでとは少し違う面もあるようだ。

iPhone4で撮影した写真(画像=ササキ氏提供)

 若者の消費行動などに詳しい「博報堂若者研究所」の瀧﨑絵里香氏はこう分析する。

「どの世代にも、昔のモノを懐かしむ文化はあります。自分たちの世代よりもあえて昔のモノを使ってみて、それを共有し合うことに楽しさを感じます。そこまでは前世代と同じですが、今のZ世代には、膨大な情報や技術の進化への”疲れ”があるように思います。デジタル技術が発達しすぎて、最新のiPhoneなら写真も動画もプロ顔負けのものが撮れて編集までできる。それに対して、あえて不完全だったり、制限があったりするものに、どこか安心感を覚えるメンタリティがあるのだと思います」

 iPhone4が発売された当時は、デジカメと同じ写真が撮れることに驚いたものだが……。今の最新携帯も「レトロ」だと言われる日が来るのだろうか。

(AERA dot.編集部・板垣聡旨)

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