一方、前述のバーナードさんのような、在留外国人と外国人観光客の区別の問題もある。
中井氏は同じ二重価格でも、「個人経営の多い飲食業と文化的保存などが意義として入る観光地は別に考えるべきだ」とした上で、こう指摘する。
「観光客と在日・在留人の区別化が一つのポイントです。運営上、二重価格でそのような問題は避けられないと思いますが、一つの施策として、政府や公式アプリなどで差別化するのも必要な手立てだと思います。地元住民らにレジデンスアプリという、自治体や政府が作るアプリをスマートフォンなどに入れて、レジデンス割(地元民割引)という形で価格からある程度の値引きをする。二重に価格を設定するのではなく、地元の人しか受けられない割引という形で差別化を図るのです」
アプリについてはすでにシンガポールなどで進めているという。国内でも別の割引き方法を採り入れている店はあるようだ。
歴史的な観光客数でにぎわいを見せる一方、観光地がコストで悲鳴を上げる状態になるのは避けなければならない。
(AERA dot.編集部・小山歩)