中学受験は受験期だけでなく、進学後もメンタルの不調に悩まされるケースは少なくない。親はどう向き合えばいいのか。AERA 2024年7月1日号より。
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過度な勉強によるストレスは受験期間にとどまらない。中学に入学したあとも、燃え尽き症候群に陥ったり、理想と現実のギャップに苦しんだり。なかには親の一言で、学校生活が大きく変わったケースもある。
「こんな学校で1番になれないなんて」
受験を専門に扱う心療内科「本郷赤門前クリニック」院長の吉田たかよしさんは、子どもが受験に“失敗”した親から、何度もこの言葉を聞いたことがあると打ち明ける。
「無意識のうちに子どもの通う学校を見下してしまう保護者も多いのです。子どもの自尊心が傷つくし、今いる場所で地道に頑張ろうというチャレンジ精神も奪われてしまいます」
親がこうした言動を繰り返すうちに、子どもは「親にとって自分は成績を上げるための機械」だと思い込んでしまう。子どもを思って発破をかけたつもりが、大きな負担になっている。そんなすれ違いを避けるためには、親側の“意識改革”が重要だ。
たとえば初めての中間テストで、平均点に届かなかったとする。このままでは大学受験で困ると焦るかもしれない。でも、そこでテストの点数だけを見てはいけない。吉田さんは言う。
「国語の課題文を一緒に読んだり、社会の環境問題や貧困問題について何が起きているのかを話し合ったりしてください。学習の中身を知ろうとすることで、子どもも安心して勉強について親と話せるようになります」
志望校の受験を「諦めた」子どもとの接し方にも注意したい。吉田さんはこう指摘する。
「本人は受験したいと思っていても、周りの大人から安全圏を受けろと言われて諦めるケースは意外と多い。これがよくない結果を生んでいます」
「親のせいで失敗した」
レベルを下げたからといって、その学校に必ず合格するわけでもない。安全圏だからこそのプレッシャーもある。