鋭いパスやドリブルで相手を置き去りにする日本屈指の司令塔は、実はシャイで照れ屋(撮影/小黒冴夏)
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 女子バスケットボール選手、町田瑠唯。今年4月、女子バスケの富士通レッドウェーブが、シーズン優勝を決めた。16年ぶりの優勝に、会場が沸いた。優勝の立役者の一人である町田瑠唯は、東京五輪でも活躍、WNBAのワシントン・ミスティックスでもプレーをした。それでも「シュートを決めてくれるみんなのおかげ」と常に謙虚。人を活かすプレーが、やがて大きな花を咲かせる。

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 パリオリンピック・パラリンピックの開幕まで1カ月余り。身体と技を極限まで磨き抜いたアスリートたちが、本大会でどんな記録・記憶を残すのか──。3年前、無観客の中で開催された東京五輪は、応援する側にとっても難しい大会だったが、それでも、毎回ヒリヒリするような試合を制し、銀メダルを獲得した女子バスケットボール日本代表の活躍は強く印象に残っている。

 4月15日、女子バスケWリーグのプレーオフファイナル第3戦が、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われた。シーズンの日本一を決める決勝戦である。長い戦いから勝ち上がってきたのが、富士通レッドウェーブとデンソーアイリス。平日にもかかわらず会場はぎっしり埋まった。富士通には東京五輪で活躍した町田瑠唯(まちだるい・31)、宮澤夕貴(ゆき・31)、林咲希(さき・29)が所属し、デンソーアイリスには高田真希(34)、赤穂ひまわり(25)、馬瓜エブリン(まうり・29)らがいるため、東京五輪の残像を求めるファンも多かった。

 拮抗(きっこう)した試合の中で、特に観客の目をくぎ付けにしたのが、コート上の司令塔であるポイントガード(PG)の町田のプレー。東京五輪では準決勝のフランス戦で五輪のアシスト記録18を樹立しただけでなく、大会オールスター5にも選ばれた。Wリーグではアシスト王を7回受賞し、米国のプロリーグWNBAのワシントン・ミスティックスで活躍してきた卓越した技を、この日もいかんなく発揮。

 162センチとひと際小柄ながら、相手のディフェンスを巧みなドリブルでスルリとかわし、変幻自在なパスで味方のシュートをアシストする。時には、味方を見ずにパスを送るノールックパスや、素早いレッグスルー(足の間にボールを通して方向転換する技)など、町田が得意とする高度なパスやドリブルを繰り出し、観客席からは「今のプレーはなんだ?」と言わんばかりに、「ウォー!」という歓声が上がった。

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