教員の教育、研究活動の妨げにもなりかねない。

「教員の働き方改革に逆行します。子どもを預けて大学で教える人もいます。また、学会や研究会などを祝日に行うことができず、研究活動にも支障をきたします」

 昨今、先進国のなかで日本の大学の論文数がふるわず、研究力の低下が懸念されている。研究者の集まりが減ってしまうことで、最先端研究の取り組みに影響は出ないだろうか。

 一方、祝日をしっかり休む大学もある。近畿大は「本学は、祝日に授業を行いません」(大学ウェブサイト)と公言している。

 しかし、その分、補講をしなければならず、夏休み、冬休みが短くなってしまう。祝日授業がない近畿大は8月6日まで、ゴールデンウィークを10連休とした法政大は8月1日まで授業を行うことになっている。

 仲井さんは、学生が長期休暇期間を有効活用できないことを心配する。

「夏休みが短くなることで、夏季短期留学ができなくなるケースも出てくる。飛行機代がもっとも高い時期と重なってしまい、学生が海外に出かけづらくなってしまう。グローバル化に逆行しませんか」

 また、仲井さんは、「2008年『学士力答申』の『これには定期試験の期間を含めてはならない』という文言が誤解を生んでいる。学事暦上の期間としては、定期試験を15週と別に設定すべきだというのは確かにその通りだ。だが一方で、定期試験受験とその準備学習は学習活動にほかならず、単位計算には含めるのが合理的である。単位制の趣旨と国際的実態からいって、13週程度が妥当ではないか。つまり、設置基準を順守しながら祝日授業をなくすことは可能ではないか」、という見解を示してくれた。

「日本の学生は勉強しない」という認識は間違っていない。学生本人のため、日本の将来のためにもっと勉強してほしい、という願いも理解できる。

 だが、授業の回数を増やせば、勉強するようになるとは限らない。授業に出てもボーッとしている学生はいる。勉強するかしないかは学生次第ではないか。量より質、勉強へのモチベーションを高めるのも大学の役割である。

「15週ルール」は、学生生活、教員の教育や研究活動にとって現実的ではない。学生が自由に使える時間を増やすことで、学生が自分でしっかり考える、自学自習する習慣を身につけるように教えることのほうが、大学として大切なのではないだろうか。

 学生は授業以外でも勉強する。学生をもっと信じてほしい。

 祝日授業を強いる「15週ルール」を見直すべきである。

(※記事中の年間授業日は、各大学のウェブサイトに掲載されている「学事歴」からの引用)

(教育ジャーナリスト・小林哲夫

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