赤ちゃんの脳は大人に比べて非常に柔軟で急激に発達するのですが、視覚の変化は赤ちゃんを外から見ていてもわかりにくいかもしれません。でも言語であれば、喃語(なん ご)からはじまり、1語や2語がやっとだったものが、5歳や6歳ぐらいになると淀みなく話せるようになりますよね。

 それと同じような発達が、視力でも起こっていると思ってください。生後すぐは0・01ほどしかなかった視力も、早い子は3歳、遅い子でもだいたい6歳までには1・0に達します。このころには両眼視や色彩の識別、色の違いの認識といった能力も完成しています。

 このとても大切な期間にお子さんの目と脳の「見る能力」をしっかり伸ばしてあげるには、何を意識すればいいのでしょうか。答えは「いろんなものを見せること」。目から脳へ、たくさんの情報を刺激として送ってあげることがいちばんです。

 そのための道具の一つが、モビールやベッドメリーというわけです。昔から子育ての場で重宝されてきたものには、やはりそれだけの価値があるということでしょう。
 

 見る経験の多彩さが重要

 お子さんがもう少し大きくなってからは、外へ出かけるだけでも、よい訓練になります。家のなかと比べれば、見渡せる距離も、目に飛び込んでくる色や形の豊富さも、視線の動きの大きさも、屋外は段違いです。

 家のなかでは遠くてもせいぜい3メートル、5メートルぐらいでしょう。しかし外に出れば、50メートル、 100メートル先のものを見ることもざらにあるため、遠近感が発達すると同時に、脳も鍛えられるのです。

 画面の一点を凝視するスマホと違って、屋外には周りに動くものがたくさんありますから、両目を動かして物を追う能力も発達します。この間に脳内で何が起こっているのかというと、刺激が入ってくることで情報処理を行う神経細胞同士を結びつけるシナプスがどんどん増えていき、未熟だった神経回路が再構築されています。

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6歳を境に鈍くなる