さらに、効率よく処理できるようにシナプスが洗練されていくことで神経回路のネットワークが最適化され、視機能の完成度が高まります。大切なのは経験です。あらゆる情報(刺激)を目から入れることで脳が鍛えられ、色や形、遠近感などを認識する機能の発達につながります。

 ただし、臨界期にはタイムリミットがあることに注意してください。6歳ごろを境に、神経回路は変化が鈍くなります。こうなると同じ経験を積んでも、得られるリターンが、ガクッと減ります。10歳ごろまでならなんとかカバーできますが、臨界期とそれ以降では、大きな差があると思ってください。

 そんな貴重な時期に、スマホばかり見ていたらどうなるでしょうか。せっかく外に出かけても、「これ見ておとなしくしていてね」とスマホ動画を見せるしかなかったら……。残念ながら、大切な経験を積むチャンスを逃し、スマホアイになってしまうリスクがあります。

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松岡俊行

松岡俊行

松岡 俊行(まつおか・としゆき) 医学博士。眼科専門医。 大阪市出身。京都大学医学部医学科卒。2019年、大阪府吹田市に江坂まつおか眼科を開業。スマートフォンによる子どもの視力低下や、眼球運動、両眼視機能への悪影響などを懸念し「スマホアイ」と称して警鐘を鳴らす。

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