そのことを端的に表しているのが、これまでも紹介してきた両眼視機能です。両眼視機能は、左右の目が捉えた異なる画像を違和感なく瞬時に一枚にまとめ上げます。非常に微妙なバランスをもとに脳内で両目の情報が組み合わされ、立体感や距離感のある映像として認識されるのです。こんな機能はどんな高級デジカメにもありません。

 さらに付け加えるなら、カメラで暗がりを撮ったときに出るガサガサしたノイズも、目の場合は脳でカットしてくれますし、ホワイトバランスも脳が調整しています。目のオートフォーカスはとてつもないスピードです。このように、私たちは圧倒的な性能の目と脳の連携プレーによって、鮮明な映像を「見る」ことができています。

両眼視機能をはじめ、ものを見るために必要な能力は、生まれる前から身についているわけではありません。生まれたばかりの赤ちゃんは脳内のネットワークが未熟なため、目にしているものの色も形もわかりません。そんな状態から、多彩な経験を通して目と脳がセットで発達し、視力や立体視といった機能を獲得していくわけです。

 このとき重要なのは、何を見ているかが発達の度合いを左右する、ということです。
 

 ベッドメリーが子どもの能力を伸ばす理由

 ベビーベッドの上で動くモビールやベッドメリーは、出産祝いの定番です。子どもがおとなしくしてくれて非常に助かりますが、このおもちゃの価値はそれだけではありません。生まれてまもなく、目の前がぼんやりと見え、ものが動いていることがわかる程度の時期に、このおもちゃが目に見える位置にあることには、脳に情報を送り、発達を促す知育の意味があるのです。

 目と脳の機能は、生まれてから6歳までの間に飛躍的に発達すると前述しました。そう、臨界期です。この時期に見る、聞く、話すといった機能に必要な神経ネットワークが、外部からの刺激を通じて整備されていきます。その結果、視覚や聴覚、嗅覚、言語習得といった能力が格段に伸びるのです。

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みるみる向上する赤ちゃんの視力