「青春18×2 君へと続く道」でジミーを演じたシュー・グァンハン(33)と、ウェブメディア「シネマカフェ」の取材に応じる。グァンハンは藤井を「日本のお兄さんでもあり、大の親友」と語る。藤井の「人間力」は万国共通のようだ(撮影/高野楓菜)

 まごうことなき売れっ子ぶり。さまざまなジャンルに果敢に挑戦し、しかしそのすべてに「藤井印」を刻んでいる。大学在学中からコマーシャルなど映像作りに携わり、卒業後、大学の仲間たちとクリエーター集団「BABEL LABEL」を立ち上げて活動。まさに「新世代の監督」の風情だ。大学時代から藤井を知る映画プロデューサーの伊藤主税(ちから・45)も言う。

「第一印象はすらっとして、オシャレな大学生という感じでした。でも中身はストイックで純粋。映画に対する執念はあのころから尋常じゃなかった」

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 脚本を書いては「読んでください」と伊藤に持ち込み、自主制作映画でも予算をつけて、一般に公開することにこだわってきたという。

「スマートに見えるけど、その裏では本当に血みどろになりながら作品を作ってきた。そのときの時間とDNAがいまでも生きていると思う」

 相対すると柔和な雰囲気と気さくな語り口が相手の心をなごませる。映画「新聞記者」の監督オファーが来た当時を振り返り「タイトルが『新聞記者』? ダサッ! ないわ!と思った」、続く「ヴィレッジ」のオファー時にも「オレ、ニューヨーク生まれ東京育ちのシティーボーイですよ? 村は無理!って言いました」などなど、ユーモアたっぷりに語る様子に爆笑させられる。

 藤井は1986年、正確には東京に生まれ、すぐにニューヨークに移った。銀行員の父と旅行代理店で働く母、3歳上の姉と4歳までマンハッタンのど真ん中で暮らしていた。祖父は医師で、台湾に生まれ日本に渡った華僑だ。その血を引く藤井の父は絵や骨董(こっとう)のコレクターで、藤井は幼いころから家族でギャラリーをめぐっていた。いま母はキルト作家、姉は絵本作家として活躍している。

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