新年度がスタートし、新たに学校や勤務先に通う人が増える季節。1年生の保護者にとっては登校班があると安心だが、その運営はPTAや教員の負担になっていることから廃止する動きも。保護者と子どもにとってベストな登校手段とは。AERA 2024年4月15日号より。
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コロナの感染対策を機に集団登校から個別登校に切り替え、そのまま個人登校を継続する学校も増えている。西日本のある小学校では20年度から個別登校を実施したが、事故が起きることもなく問題は見られなかったため、登校班はそのまま廃止することを決めた。同校でも以前から登校班の運営で生じる児童間、保護者間のトラブルや教員の負担に頭を悩ませており、登校班の復活を望む声はほとんど聞かれないという。
個別登校と登校班の選択制を検討する学校もある。東京都葛飾区のある公立小学校もコロナ禍の20年度、集団登校をやめ個別登校を始めた。翌21年12月、コロナ明けを見越して保護者向けに通学方法の希望をアンケートで問うたところ、登校班希望者と個別登校希望者はそれぞれ約15%と拮抗し、最多は「わからない」の回答だった。
その後、区内の多くの小学校は個別登校の継続を決定したが、同校では学校評議員である地域住民から登校班継続を望む強い要望があり、23年度は登校班を復活させた。
だが校長は「登校班の長期的な継続は難しい」と予想していた。
「最大の理由は個人情報保護の観点から班名簿の取り扱いが難しくなっていること。班によっては班長となる高学年児童の負担が目立ち、保護者同士のトラブルを仲裁するPTA役員さんも苦労していました」(校長)
同学区では児童数が毎年増加を続けており、今後も登校班を継続すれば、とりまとめ役の保護者や教員の負担はますます増大する可能性が高い。加えて最近は保護者のなかで個別登校を望む声が増していることも校長は感じていた。
「違い」前提に見直しを
そこで24年2月、再び保護者にアンケートを実施したところ、前回とは異なり個別登校への賛成が集団登校へのそれを大きく上回った。挙げられたのは「子どもや各家庭のペースで登校できる」「家から直接学校に行ったほうが早い」「個別登校で問題はなかった」「個人情報が適切に扱われる」「近隣他校も登校班がない」「下校はもともと個別」などの理由だ。