登校班については「一般歩行者や自転車等の通行を妨げている」「高学年の歩く速度に追いつけない低学年の子が信号が赤になっても道を渡っていることがあり危ない」「委員や見守りをする保護者の負担が大きい」「子どもの『自分で考える力』が育たない」などが指摘された。

 他方、個別登校の経験がない1年生の保護者などからは登校班に賛成する意見もあがった。「安心感がある」「心強い」「他学年の子と交流をもてる」「不審者対策になる」「遅刻しづらい」「個別登校は不安」などがその理由だ。地域住民からも「登校班は50年の伝統がある」など継続を望む声が残ることから、同校は新年度から最初の週のみ集団登校、その後は個別登校と登校班の選択制をとる計画だ。

 校長は言う。

「保護者の生活が昔とは変わり、皆さん共働きで忙しい。個別登校を望む方は今後、より増えていくだろう。登校班は希望者で続けていただくしかない」

 学校やPTAの仕組みがつくられた時代から半世紀以上が経つ今、かつて好まれた「全員一律の扱い」が各所で軋轢を生んでいる。「違い」を前提に仕組みを見直す必要があるだろう。(ライター・大塚玲子)

AERA 2024年4月15日号 より抜粋