小林武史さんは、千葉県・木更津市にある農業、食、アートなどをテーマにした複合施設「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」も手がけている(撮影/品田裕美)

 2019年には農業、食、アートなどをテーマにした複合施設「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」を千葉県・木更津市にオープン。東京ドーム約6個分という広大な敷地にオーガニックファームや酪農場、敷地内で収穫した食材を購入できるショップ、レストラン、宿泊施設などがあり、自然の営みを体験できる施設として注目を集めている。コロナ禍の2021年10月には、Bank Band、Mr.Children、KAN、宮本浩次などが出演した無観客配信イベント「ap bank fes ’21 online in KURKKU FIELDS」が開催された。

地域に根付いたサステナブルな取り組み

 石巻市や木更津市などでのプロジェクトは自治体とも対話し、協力しながら活動を続けてきた。一過性のイベント開催だけで終わらせるわけではなく、地元に根付くサステナブルな形で活動に取り組むことも小林のポリシーなのだろう。千葉県誕生150周年記念事業も、100年後を考える芸術祭というコンセプトで、千葉県知事をはじめ地元の人たちと対話を重ねてつくりあげてきたという。

「百年後芸術祭-内房総アートフェス-」の音楽イベント「LIVE ART」の題名は、「通底縁劇・通底音劇」。シュルレアリスム宣言で知られる20世紀の詩人アンドレ・ブルトンの「通底器」にインスパイアされたというこのタイトルの根底にあるのは、「つながるはずのないものがつながる、つながっている」というイメージだという。

「どこまでさかのぼれば解決できるのかわからないような歴史的な要因による戦争、自然災害による物理的な分断もそうですが、今の社会にはさまざまな分断が起き続けていて。しかし本来、我々は『根底でつながっている』つまり『わかりあえる』のではないかと感じているんです」

 全4公演で構成される「LIVE ART」の一つが、4月20日(土)、21日(日)にクルックフィールズで開催される「super folklore(スーパーフォークロア)」だ。櫻井和寿、スガ シカオのほか、小林が率いる「Butterfly Studio」(映像、テクノロジー、サイエンス、コンテンポラリーダンスなどさまざまな分野のアーティスト、クリエイターが新しい表現を創りだすために集まったチーム)が出演するこのライブにも“つながり”というテーマが流れているようだ。

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従来の音楽ライブとは違う演出