千葉県誕生150周年記念事業の一環として開催中の『百年後芸術祭』で総合プロデュースをつとめる小林武史さん(撮影/品田裕美)
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 櫻井和寿(Mr.Children)、スガ シカオ、宮本浩次、アイナ・ジ・エンド――。錚々たる面々がまったく新しいアプローチでステージに立つイベントが開催される。その仕掛け人であり、総合プロデュースをつとめる小林武史さんに話を聞いた。

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 千葉県誕生150周年記念事業の一環として開催中の『百年後芸術祭』。3月23日~5月26日にはこの芸術祭の一環として、市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市の5市で「百年後芸術祭~環境と欲望~内房総アートフェス-」が行われ、約80組のアーティストが出展するほか、音楽パフォーマンスなども開催される。

 音楽、アート、テクノロジー、SDGsなどを融合したこのイベントの総合プロデューサーをつとめているのが、音楽プロデューサーの小林武史だ。

 2月に行われた企画発表会で小林は、”環境と欲望”というテーマについて「“欲望”、つまり自己の利益を考えることと、“環境”、すなわち他者の利益を考えること。その両立と共振を考えることが未来を創っていくことではないか」と語った。

 都市と自然、物質的な欲と精神的な充足。一見、相反する要素をつなぎながら、これからの未来に対して行動を続ける。それは小林の活動に一貫して存在するテーマだ。

櫻井和寿、坂本龍一らと共に、環境問題に取り組んできた

 80年代のはじめに音楽活動をスタートした小林武史。サザンオールスターズ、Mr.Childrenをはじめとするビッグ・アーティストの楽曲制作やライブに関わり、数多くのヒット曲を生み出してきたことはご存じの通りだ。また映画「スワロウテイル」(1996年)、映画「リリイ・シュシュのすべて」(2001年)、映画「キリエのうた」(2023年)などの音楽を手がけたことでも知られている。

 日本の音楽シーンで輝かしい功績を残してきた一方、小林は環境問題や震災の復興支援など、社会的なアクションも継続してきた。

 2003年にMr.Childrenの櫻井和寿、坂本龍一氏と非営利団体「ap bank」を立ち上げ、野外音楽イベント「ap bank fes」の実施のほか、東日本大震災後の復興支援活動に力をいれてきた。宮城県石巻市を舞台にした芸術祭「Reborn-Art Festival」を立ち上げるなど、いまも継続的に復興を後押しする活動を行なっている。

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