「僕はすごく楽観的」と語る小林武史さん(撮影/品田裕美)

 さらに小林は「僕はすごく楽観的なんですよ」と言葉を重ねる。

「解きようがないくらいこんがらかってしまった状況があっても、根本にある問題を分散したり、熱を取ることで、必ず解決できると思っているんです。もちろん“これから良いことばかりが続く”などとは思っていないし、そんなことはあり得ない」

 いま、社会は混沌としているように思えるが、そこについても悲観はしていないという。

「自分たちが生きている現代の社会に課題は山積みのように思えるけれど、もっと長い目で歴史を見てみるとね、今までもいろいろとあったはずなんです。それでもなんとか乗り越えてきている。我々には先人が残してきた歴史から得られる教訓に加えて、発展したテクノロジーやAIという新しい手段もある。それらを活用することで、必ず先に進めるはずだ、と。その過程ではアラームが鳴ってしまったり、後退せざるを得ないこともあるだろうけど、工夫しながらより良い未来に進むことはできると思うんです」

 歴史的・宗教的な問題を背景にした戦争や紛争、震災・災害による物理的な断絶など、さまざまな場面で“分断”が進む現在。“すべてはつながっている”という確信に基づいた小林のアクションには、解決不能とも思える問題が積み重なる現代を生きていくうえで、大きなヒントが含まれていると思う。

(取材・文/森 朋之)

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