岸田首相は4人について、次の選挙で非公認もしくは党員資格停止という、想定よりも重い処分を課す方針を打ち出した。
ある安倍派の衆院議員は、
「3月23、24日の土曜、日曜には、岸田首相の処分案に不満をもった4人の幹部や、その意を受けた議員があちこちに電話をかけて、『なんとか岸田首相に翻意してもらうように』と働きかけていたようだ。私にも幹部の一人から『岸田の処分はいったいなんだ』とすごい剣幕で電話があった。30分以上、岸田首相の悪口を言いまくっていた。『誰のおかげで総理になれたのかわかっているのか。安倍派のおかげだ』と言っていたのが印象に残っている」
と明かす。同議員のスマートフォンにはメッセージも届き、
<岸田のむちゃくちゃさを森喜朗元首相にも言ってやる>
との内容も入っていた。
処分は党員資格停止が濃厚
岸田首相もあまりの反発に、一時は、
「弁明を再度聞いてから判断する」
と発言が後退した。そこへ二階氏の不出馬の報が飛び込んできたのだ。
「安倍派の4人を処分したところで国民は納得しません。政治資金収支報告書への不記載額では最高額の約3500万円だった二階氏も責任を取れとなります。そうなる前に辞めれば処分は回避できると、事前に岸田首相らと調整したうえで、選挙不出馬を決断したと聞いています。処分を受けなければ議員を辞めても影響力を残すことができる。安倍派の4人の処分にさまざまな横やりが入り、困っていた岸田首相にも恩を売れます。二階氏が辞めたのだから、4人にはより厳しい処分を課すことが当然という空気になってくる」
とは二階派の国会議員の話。
前出の安倍派の衆院議員は、こう話す。
「二階氏の決断で、自民党の党則から見ると3番目に重い党員資格停止になるとの見方が強い。ただそうなると裏金が1千万円を超すような他の安倍派幹部にも軽い処分とはいかず、それで新党結成となると困るので岸田首相も悩んでいるようだ」
自民党で政務調査役を長く務めた政治評論家の田村重信氏は、
「二階氏は先手を打って自身の処分を避け、一方で岸田首相の応援にまわり、安倍派の4人に処分を下しやすい環境をつくった。二階氏が選挙不出馬なので、安倍派の4人には最低でもこれと同等か、それ以上に厳しい処分も出しやすくなった。だから、岸田首相は夕方にわざわざ二階氏と会談をしたのでしょう」
と指摘した。