二階氏にとって重要なのは地元の後継候補だ。記者会見では、
「地元の皆さんのご判断にお任せしております。(和歌山)県連にもこの旨、お伝えしたところ」
と述べた。
二階氏の和歌山3区は次の衆院選で「10増10減」の区割り変更の対象となり、現在の和歌山2区の大部分と一体になる。
二階氏の秘書には長男と三男がついており、
「いろいろ問題はあるが、二階先生が引退となればどちらかが後継になるのは既定路線です」
と自民党和歌山県連の幹部は話す。
じわじわと効いてくる「過激ダンスショー」
一方、以前から二階氏の選挙区を狙っていた世耕氏の動きも気になるところだ。
これまで何度も衆院にくら替えするとの話が浮上していた。参院の任期は来年夏まで。くら替えするにも、参院選で出馬するにも党の公認が得られなければ、厳しい選挙になるのは間違いない。
また、世耕氏には、元秘書と現秘書が関わった和歌山県での「過激ダンスショー」もボディーブローのように効いている。さかのぼれば、世耕氏が陣頭指揮をとった昨年4月の衆院和歌山1区の補選は、維新候補に大敗している。
前出の田村氏は、
「安倍派が解散し、官邸の力が強くなるなかで、派閥も、森元首相ももう頼れないという現実をまずは直視すべきだ。そこに裏金事件があるので、世耕氏は新党だ、他の党に移籍だとか考えたとしてもとても無理。そんなことを考えずに、無所属で戦い勝ち抜かないと政治家として未来はない。他方で、岸田首相が捨て身で派閥解消を打ち出したことが、ひいては二階氏の不出馬にまでつながった。これで、岸田首相は安倍派4人を思い切って処分できるので、“低空飛行”の支持率を戻せるチャンスがきた。処分内容も報道より厳しくなる可能性もある」
との見方を示している。
(AERA dot.編集部・今西憲之)