だから自民党国会議員から見れば、どう考えても大きな改革には反対ということになるわけだ。とりわけ、巨額の政策活動費を使っていた派閥の領袖たちが猛烈に反発するのは必至だ。
このように考えて、岸田首相は、国民の人気を取るために無理に改革を進めるよりも、支持率が下がっても、国会議員の激しい反発を買うことを避けようということになってしまうのだと思われる。
本気での改革ができない原因の根底に自民党総裁選のルールがあるのなら、それを大きく変えなければならないということになる。
そこで、まず、現行の(2021年の総裁選の)ルールを見てみよう。
総裁選に立候補するには国会議員20人の推薦が必要だ。
その上で、1回目の投票が行われる。投票できるのは自民党の全国の党員・党友(党員は約110万人。党友は資金集めの団体である自由社会を守る国民会議と国民政治協会の会員。2万人程度と言われる)と自民党の国会議員だ。その票数は、国会議員は1人1票で、党員・党友票(以下党員票と呼ぶ)には国会議員票の総数と同じ票数が割り当てられる。
21年の総裁選では、国会議員が382人いたので国会議員票が382票で、党員票も382票が割り当てられた。投票が行われた後、党員票については、各候補者に「ドント方式」(各候補者の総得票数をそれぞれ1、2、3、4……と自然数で割っていき、得られた商(得票数)の大きい順に議席を配分する方式。参議院・衆議院の比例代表選挙などで用いられている)で票数が割り当てられる。
各候補者の国会議員票と割り当てられた党員票の合計がその候補者の得票数になる。1人で過半数の得票(21年の場合は383票)が集まれば、その候補が総裁に選ばれる。
一方、1人で過半数の得票を取る候補者がいない場合は、得票数の多かった順で1位と2位の候補者のみによる決選投票が行われる。
決選投票で集計されるのは、国会議員票と47の都道府県票だけだ。