割り当てられる票数は、国会議員も都道府県もそれぞれ1票ずつ。都道府県分は全部合わせても47票しかない。それが2人の候補に分かれるわけだ。したがって、勝敗は国会議員票でほぼ決まってしまう。
21年の総裁選では、河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4氏が立候補した。
河野氏は、国会議員票86、党員票169、合計255票。岸田氏が議員票146、党員票110、合計256票。高市氏が議員票114、党員票74、合計188票。野田氏が議員票34、党員票29、合計63票だった。
どの候補も有効投票総数762票の過半数の382票に達しなかったので、上位2人の岸田氏と河野氏による決選投票となった。
決選投票では、岸田氏が議員票249、都道府県票8、合計257票。河野氏が議員票131、都道府県票39、合計170票だった。岸田氏の勝利だ。
この結果を見ると、1回目の投票では、河野氏が党員票の44%を取った。決選投票でも河野氏は、都道府県票の83%を取っている。
しかし、国会議員に嫌われていたので、そちらで大差をつけられ、岸田氏に負けたのだ。党員の意見だけで決めれば、もちろん河野氏の大勝だっただろう。
この結果を受けて、河野氏は次期総裁選に向けた作戦を考え直したようだ。
まずは派閥の親分である麻生太郎氏に忠誠を示して、できれば麻生派として河野太郎を推してもらおうとする作戦だ。それと同時に、お酒も飲めないのに毎晩国会議員との飲み会を重ねて「お友達」を増やそうと「精進」を重ねているそうだ。
総理になるためには仕方のないことかもしれないが、河野氏が議員仲間に嫌われても正論を吐くという場面は急速に減ってしまったように見える。脱原発発言も完全に封印されてしまった。
こうした行動を続けた結果どうなったか。
党員の支持を失い党員票が大きく減少しかねない状況となっていることは、2月9日の本コラムで紹介した自民党員調査にもくっきりと表れていた。