2024年の大河ドラマ「光る君へ」は、平安時代の女流文学者・紫式部が主人公。紫式部は『源氏物語』の作者としてあまりにも有名だが、その実像は謎に包まれている。そんな、紫式部や「我が世の春」を謳歌した藤原道長など隆盛を極めた藤原氏が台頭した時代がまるっと分かる、週刊朝日ムック『歴史道vol.31 藤原氏1300年の栄華の謎』では、紫式部(まひろ)を演じる吉高由里子さんにインタビュー。クランクインから約半年、平安女子を演じるにあたっての思いや意気込みを語ってもらった。
——平安神宮でのクランクインから半年以上が経ちましたが今のお気持ちは?
吉高 昨年5月に平安神宮でスタートできて、平安時代にタイムリープをしたような気持ちで臨めました。それから半年以上、こんなにあっという間なんだなという思いです。主にスタジオで撮影しているのですが、本当にセットなのかと思うほど、そこに池ができていて、大きな邸宅もあって、本物の馬がいるのにも驚きました。本当に平安時代にいるような雰囲気で、自分だったら「この時代にどうやって生きていたのかな」と考えますし、毎日妄想しています(笑)。それと毎日、和装を身にまとうのも楽しみですね。革靴と同じで自分の肌にしっくりきて馴染んでいくような、育てているような感覚です。カツラは重く、後ろから引っ張られているようです。ロケ地ではその格好でコンビニへ行って店員さんに驚かれたり(笑)。
——紫式部役のオファーを受けられた時のお気持ちはいかがでしたか?
吉高 摩訶不思議な気持ちでした。日本中、世界中で名前を知られていても本当の彼女のことを知っている人は、あまりいないと思いますし、彼女のキャラクターも、私はそれほど明るい感じのイメージがなかったんです。じっくり人を観察しているような感じがしていて……でも、大石静さんの脚本に描かれたまひろ(紫式部)は、とても好奇心が強く、多感で時に頑固な個性的なキャラクターです。若い時代の台詞には、とても情熱的なものが多いですし、照れずに頑張って演じられたらと思いました。
——平安時代の世界をどのように感じていらっしゃいますか?
吉高 衣装や建物で一番、目に留まるのが色づかいです。濃淡があって、繊細さもあって、とくに着物も意外な色を組み合わせたりするんですが、それがまた絶妙なんですよ。ものを見る、風の音を聴く、においを嗅ぐ、手で触れる……すべてにおいて敏感で、五感が揺さぶられる思いです。「ああ、この時代って、こんなに人の心を揺さぶる風景があったのか?」と驚きます。衣装ですが、男性陣もすごくきれいで素敵ですので画面を通じてどう見えるのか、待ち遠しいです。あと第1話のまひろ。子役の俳優さんが演じていらっしゃって、そこは私が演じていない部分でもありますので、すごく楽しみなんです。