第二次世界大戦が終わって78年。「近い将来、第三次世界大戦が間違いなく始まる」という言葉は、世界中で何万、何十万回と軍人や評論家、そして政治学者からも出ました。
それが今はネットで増幅されます。新聞やラジオ、テレビの一回のコメントですんだものが、世界中に広がっていくのです。
そういうのに接しても、読子さんはよけい混乱し、眠れなくなるだけでしょう。
マスコミも同じです。マスコミは、特にほとんどのテレビは政府の政治性を受けて報道しますから、残念ながら当てにはなりません。独自の調査報道ではなく、政府の発表報道が主流ですから、客観的に見ることはできないでしょう。
現在、日本は世界10位の防衛費ですが、向こう5年で、政府の計画通り防衛費が関係費用を含めて2倍になれば、ロシアを抜いてアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事費の国になります。
これがどんな意味になるのか。それが「どうしようも無い現実」に対するどれぐらいの有効な手段になるのか。
心配で心配で眠れない読子さんだからこそ、軍事と外交そして歴史の専門家の「本物の知識」を吸収すればいいと僕は真剣に思います。
そして、その結果、「やっぱり戦争は100%起こる」と結論するのか「これぐらいの確率で戦争は起こる。でもそれはこういうことをすれば、可能性は減らせる」と結論するかは、じっくりと専門家の言葉に耳を傾けた後でしょう。
多くの人は、読子さんの家族のように気にしないか、なんとなく流されているか、だと思います。
でも、読子さんは、敏感な感受性や鋭い危機意識で、戦争に対して恐怖しているのだと思います。
だからこそ、「戦争の可能性の専門家」になることを僕はお勧めします。なによりも、専門書を読んでいる時には、不安や恐怖は少しは減ると思いますから。
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