「やらなくてもいい」環境をつくる
前出の浜崎さんとは逆で、子どものメンタルが先に崩れ、親が動揺しないように務めるというパターンだった。
この時期、普段はひょうきんでおちゃらけていることが多い長男はずっと無口で、性格が変わったようになっていたという。必要以上にプレッシャーを感じてしまうところがあり、過去問の採点をごまかしていたこともあった。そういう息子の精神状態を知っていたゆずぱさんは、あえて「やめる選択もある」ことを伝えたという。
「息子は私立小に通っており、ほぼ全員が受験するという特殊な環境でした。だから『この道しかない』と思ってしまうと、子も親も苦しくなる。世の中にはいろいろなルートがあることを説明して、ダメだったら公立中に行ってもいいんだよということを伝えました。あと、この時期の受験生は実は周りの状況があまり見えていないので、自分だけがダメだと思いこんでいる。他の子も判定は思い通りには出ないし、できない問題はみんな間違えている。そういう現状であることを知ったうえで、それでもやめる選択もあるよ、と伝えると『もう一度やる』と気持ちを立て直していました」
長男は「やらない」ことに罪悪感を抱いてしまう性格でもあるため、塾から大量の宿題が出される冬期講習もあえて欠席したという。宿題を「やらなくてもいい」環境をつくり、過去問と苦手な算数の勉強に集中させることで、今やるべきことを明確にした。一方で、ゆずぱさんは親として直前期でもメンタルを平静に保てるよう、綿密に受験パターンを構築し、合格、不合格にも一喜一憂しないようにしないと決めた。