あえて機械的に淡々と
「自宅には受験パターンをすべて書き出した大きな表を貼りだして、それに沿って受験を進めていくことを息子とも合意していました。だから、2月1日に不合格がわかった後も、『じゃあ明日はこのパターンだね』と淡々と受験していきました。結局、2月5日まで受験を続けましたが、親はあえてスケジュールをこなすように振る舞うことで、合不合による感情の揺れ動きを見せないようにしました。子どものタイプにもよると思いますが、息子の場合は『次はやればできる!』などと感情的に励ますよりも、機械的に淡々とこなす方が合っていたと思います」
結果、長男は偏差値60以上の私立中高一貫校に合格。現在は高校生となり青春を謳歌しているという。ゆずぱさんは言う。
「直前期はあえて情報をシャットアウトすることもひとつの方法だと思います。SNSなどを見ると、周りの家庭がみんなできていると思いがちですが、実際はどの受験生も同じようなものです。ただ、子どもによって強みや弱点が違うので、やるべきことは違う。親がその子に合った環境をつくってあげることが何よりも大切だと思います」
前出の浜崎さんは直前期の親のメンタルについて、改めてこう語る。
「もう一度、子どもが中学受験したとしても、私のメンタルは同じように乱れてしまうような気がします。やっぱり3年間も勉強してきた子どもの頑張りは尊いし、子どもへの愛情が深ければ仕方ないのかなと。ただ、自分もそういう精神状態になってしまうかもしれないという心構えがあれば対処法も考えられるし、きっと本当の“メンタル崩壊”は防げると思います」
いかにベストな環境で受験日を迎えられるか。直前期こそ、親の精神力が試されそうだ。
(AERA dot.編集部・作田裕史)