篠山紀信さん
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 1月4日に83歳で亡くなった篠山紀信さんは生前、「篠山というのは、時代が生んだ、変な写真家なんですよ」と、茶目っ気たっぷりに語っていた。撮影対象はアイドル、著名人、建築、自然風景と、多岐にわたる。「これは面白い、というものは何でも撮っちゃう。そんなバカみたいなことをやる人はほかにいないでしょう(笑)」。一方、最近は過激なものを排除し、無難なものに流れる時代の雰囲気をひしひしと感じていた。

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 これまで篠山さんはさまざまな被写体を撮影してきたが、週刊誌のグラビアなどは「自分の生活のためのお仕事」と割り切ってきた。

「結局、自分の作品をつくってきたのは、ほぼ写真集と写真雑誌しかなかったわけですよ」

 特に1968年に銀座ニコンサロンで開催した初個展「誕生」以来、ヌード写真に強いこだわりを持ってきた。

 なかでも有名なのはアイドルだった宮沢りえさんを撮影したヌード写真集『Santa Fe』(1991年、朝日出版社)だろう。写真集としては異例の165万部に達し、社会現象になった。

アサヒカメラ」の編集部員だった筆者は20年前、篠山さんのヌード撮影の現場に密着したことがある。周囲の目が気になり、ヒヤヒヤしながら取材したことが強く印象に残っている。

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屋外でヌード撮影を敢行