一つの時代の節目にきている

アサヒカメラ」は20年に休刊した。翌年、篠山さんの大回顧展「新・晴れた日」が東京都写真美術館で開催された。その取材で筆者が再び篠山さんの事務所を訪ねると、こう振り返った。

「昔は写真雑誌がたくさんあった。カメラメーカーも活況を呈していた。つまり、写真というのが、キラキラ輝く表現媒体だった。ところがいまは、『アサヒカメラ』も、『日本カメラ』もない。紙媒体がなくなって、写真という表現メディアが明らかに変わっていく。その変節点というか、一つの時代の節目にきているな、という感じがしてならない」

 これまでの約60年間に撮影してきた作品は「まぎれもなく、時代のドキュメンタリー」だと言う。

「写真が紙から電気(デジタル)に代わって、表現方法ががらっと変わっていく。篠山も歳をとっていく。ははは。そういうことですよ」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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