体に良くないとわかっていても、つい飲み過ぎてしまう人は少なくないだろう。酒好きにとって、健康管理はアルコールとの付き合い方が鍵を握ると言っても過言ではない。アルコールによる健康リスクとは何か。自分自身の遺伝子のタイプに応じた適量はどれくらいか。アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏の新著『ハーバードが教える 最高の長寿食』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。
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酒と上手に付き合う
「酒は百薬の長」と言われますが、はたして本当でしょうか。過去の研究では「適量の飲酒は心筋梗塞など心疾患を減らす」ということが指摘されていますし、適量の飲酒は認知機能のサポートにもつながるのではないかという研究もあります。
これらは酒飲みの人にとってはうれしい情報ですが、飲み始めてしまうと適量なのか大量なのかわからなくなるというのが悩みのタネでもあるでしょう。
一方、アルコールにはリスクもあります。短時間に大量の飲酒をすることで血液中のアルコール濃度が急上昇して脳に影響を与える「急性アルコール中毒」や、慢性的な「アルコール依存症」はよく知られています。
これだけではなく、アメリカでは「アルコールによる発がん」も注目されています。アルコールが体内で代謝されて生まれるアセトアルデヒドという有害物質が遺伝子に直接作用し、発がんを促進すると考えられています。また、アセトアルデヒドが活性酸素を増やして炎症反応を起こしやすくすること、細胞中のビタミンB6や葉酸など有益な成分を減少させることなども、発がんにつながるリスクファクターです。