Aさんは、東京五輪でも関連施設の仕事をしていたといい、
「万博のリングでもこうして仕事にかかわれることはとてもうれしいことです。リングの一部は高さ20mまで完成していて、そこからはたしかに大阪湾や明石大橋、大阪の街が一望できます。冬場は空気が澄んでいるから、とてもきれいに見えます。万博本番になれば、朝日や夕日に照らされるリングはインスタ映えもするし、最高だと思います」
とリングからの景色の素晴らしさを認めつつ、スマートフォンの画面にリングの構造や図面を出し、技術的な解説をしてくれた。
貫工法はそこまで特別な技術ではない
「貫工法を使うと宣伝されますが、そこまで特別な技術じゃないです。すごい職人さんが来て腕を振るっていると思われるかもしれませんが、そんなのはごく少数です。木材も国産檜(ヒノキ)や福島県の杉を使っていると言いますが、使っているのは縦と横の梁(はり)など一部だけ。大半は、細い木を接着剤で貼り合わせて圧縮したフィンランド製の集成材で、国内の林業振興にもなっていません。ですからリングがそこまで特別にすごいという建築物には感じていません。ゼネコンが出している世界最大という横断幕、こんなものは他にはないから一番大きいに決まっています」
Aさんの後ろには、<世界最大級の木製リングをつくっています>という横断幕が貼られていた。
そして、吉村知事の発言にあった、シンボルとして後世に残すという見方についてAさんは、
「半年なら大丈夫なんでしょうが、それ以上保存するとなればかなりの補強か、移設したほうが早いです」
と指摘する。