大阪市の埋め立て地、夢洲で2025年春から開催される大阪・関西万博について、政府は12月19日、会場建設費を中心に計1647億円とする試算を公表した。そして、シンボルとされる大屋根(リング)をめぐっては、万博終了後に「移設」「保存」といった意見が政府や地元・大阪から出始めている。当初は解体され、木材は再利用するという方針だったが、344億円かけて半年で壊すのは「無駄使い」と一斉に批判されたことが影響したとみられる。「特殊な技法」「世界最大級」「レガシー」といった言葉で表現されるリングだが、建設に携わるこの道15年のベテラン職人は「移設して残すような特別なものじゃない」と冷静に語る。
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会場を取り囲むように建てられるリングは、1周2キロ、直径675メートル、建築面積約6万平方メートル。高さは内側12メートル、外側20メートルで、「世界最大級の木造建築物」とのふれこみだ。日本の伝統的な「貫(ぬき)工法」と呼ばれる技法で、金具やボルトで組み合わせながら建設していくという。
吉村知事は大絶賛
リングが大きく注目されるきっかけの一つは、大阪府の吉村洋文知事の「大絶賛」だ。建設費増額で厳しい世論が吹き荒れるなか、
「釘を使わない素晴らしい建設技術を使った建設物」
「リングの上を歩くことができる。六甲の山々、淡路島、大阪の都心部もきれいにみえる」
「万博では(来場者)2800万人の方々がこのリングを体感される。(建設)技術も含めて国内以外からすごく高い評価になる可能性が高いと僕は思っている」
「万博の象徴にもなるこのリングについては後世に素晴らしいものを残すべきではないかという意見も多く出るだろう」
そこで、実際にリングの建設作業にあたっているAさんに現場の感覚、感想を聞いてみた。