大阪市役所入り口に置かれた大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」のモニュメント

 その理由については、

「リングは日よけ効果もあるとのことで、一部を緑化する設計で建てています。つまり木の上に防水を施し、さらにその上にシートのようなものをかけて栽植することになります。植物を植えるとなれば水が必要になります。いくら防水したとしても、木は水に弱いので傷みます。イメージ図を見ると、緑化だけではなく花も咲いていますから、栽培と維持にはかなりの手がかかるでしょう。万博は暑い時期の開催なので、散水も多くなり、水の重さも加わります。先にも言いましたが、使っている木のほとんどが集成材というごく普通のものですから、やはり傷みますよ」

 と説明する。

想定外の工事をしている

 また、リングの建設費が高騰している理由についてもこう話した。

「簡単に言えば、地盤の問題ではないかと思われます。地盤がやわらかくて予想になかった工事をしています。コンクリートを地面に貼って、その上に木の柱を建てて作っていきますが、場所によっては地盤沈下がかなり進みそうな場所もあります。地盤の強さを示す指標である『N値』が、一般的な場所と比較すると足りない。表面はいいけど、そこから数メートル下がるとN値が極めて低い。その分、想定していなかった工事を追加していることが図面などからわかります。だから費用がかさみます」

 万博終了後は、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業も見込まれているが、

「半年もてばという設計、施工ですから、リングを夢洲で保存するなんてことはありえません。N値は今後、他のパビリオン建設にも影響してくるはずです。ましてやIRのために造られるホテルや会議場の建設など、今の状態のままではありえない」

 と明かした。

 大阪維新の会所属の大阪市議は、

「シンボルとなるはずが、万博の建設費増額の象徴で、悪玉のように見られている。『すべて万博を推進してきた維新のせい』のような世論になってつらい。万博はIRのためのインフラ整備をやるためのものですからね。地盤が悪くてIRがダメなんてなれば、もう維新は終わりです。嘘つきと言われかねない」

 とこぼす。

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