大阪・関西万博の建設費に歯止めが利かない状態だ。2度の増額で建設費が膨れあがり、350億円かかるという木製の「リング」の必要性にも疑問の声が上がっている。しかし、大阪府の吉村洋文知事は「コストでは計れない意味ある」と主張し、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)の十倉雅和・経団連会長も「ぜひやりたい!」、自見英子万博相は「熱中症対策の日よけとしても必要」などと言ってのける。もう、国民の思いなど知ったことではないのだ。
大阪府の吉村洋文知事は11月9日の記者会見で、万博の建設費増額についての質問に、
「2350億円の建設費がかかるが2兆円の経済効果が出る。ある意味、経済効果やコストでは計れない、未来をつくりあげていくという意味での価値観や技術に触れてもらうという意味で非常に意味があると、大きな意義があると思うので進めています」
350億円かかる1周約2キロのリングについても、
「ぼくは必要だと、やるべきだと思っています。リングのもとで一つになっていくという理念がある。世界にはない日本の木造建築技術を発信する。いろいろな意味を含めて必要だとという認識です。重要だと思っています」
などと答えた。
リングについては8日の衆院内閣委員会でも議論された。
「健康管理の意味でも大きな役割」
立憲民主党の中谷一馬氏が、
350億円かかるということで波紋を呼んでいます。そもそもなぜ必要なんでしょうか」
と質問すると、自見万博相は、
「万博の理念を示すシンボルで欠かせない建築物です。リング上部の素材を変えるなど(コストダウン)しています。夏の暑い時期に開催されるので、リングの上に屋根をつけることで日よけの熱中症対策としての大きな役割を果たしています。障害のある方、ご高齢の方にもたくさん来ていただきたいと思っていますので、来場者の健康管理の意味でもリングの役割は大きいものがあると思っています」
と答えた。
これに対し中谷氏が、
「日よけに350億円を国民のみなさんが求めているとお考えになられているのか確認したい。これ(半年で)壊すんですよね」