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キッチンにはいい油を置いておきたい(Getty Images)

 日々の食事に欠かせない油。「悪者」扱いして脂質の摂取を控えてしまう人もいるが、量だけを問題とせず、その種類や性質を理解して摂取すれば過剰に恐れる必要はない。健康に良い油と健康に悪い油、そして医師がおすすめする油とは──。アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏の新著『ハーバードが教える 最高の長寿食』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。

【表】混乱もスッキリ、各種脂肪酸の種類はこちら

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摂りたい油、避けたい油

 油(脂質)の主な構成成分である脂肪酸は、バターやラードなど動物性の脂に含まれている「飽和脂肪酸」と、オリーブオイルや亜麻仁油など植物性の油に含まれている「不飽和脂肪酸」の2種類に大別されます。飽和脂肪酸はさらに短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸(オメガ9)と多価不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6)に分けられます。

 これらの油の中には健康に良い油と健康に悪い油があります。加熱しても酸化されにくいという点では、常温で放置すると白く固まるバター、ラード、ヘット(牛脂)、ギー(バターから水分やたんぱく質を除いた油)など飽和脂肪酸に利点があります。

 飽和脂肪酸の中でも、ココナッツオイルやMCTオイルなどには中鎖脂肪酸という分子量の小さな脂肪酸が多く含まれ、糖質制限のサポートや脳のコンディションアップに役立つと言われています。

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満尾正

満尾正

満尾 正(みつお・ただし) 満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

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体内の炎症を抑えるオメガ3脂肪酸