そして、炎症を予防するうえで最も警戒すべき油が、マーガリン、ショートニング、業務用油などをつくる過程で発生する「トランス脂肪酸」です。トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸に水素を添加したり、高温処理したりして油を抽出したときに生成される特殊な脂肪酸で、通常の脂肪酸とは構造が異なります。善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールを増やすなど健康への悪影響が報告されています。

 ちなみに、マヨネーズには卵や酢が使われているものの、その原料の大半は油です。製品によってどのような油が使われているかは違いますが、「植物性油脂」とだけ表記されている場合は、高濃度のトランス脂肪酸が含まれていると考えてよいでしょう。マヨネーズが好きで何にでもかける若者は、年齢を重ねたときに健康を害するリスクを自ら高めているように見えてなりません。

 健康のためには全ての脂質の摂取を控えるほうがいいと思っている方も多いかもしれませんが、脂質は細胞膜を作り、細胞の形や柔軟性を保つなど大切な働きがあります。肌に潤いを与えるのも、細胞のエネルギー源にもなるのも脂質があるからですし、脂質はホルモンや胆汁の材料にもなります。量だけを問題とするのではなく、その種類や性質を理解して、過不足なく適切な量の脂質をきちんと摂取する必要があります。

ココナッツオイル

 油のなかでもおすすめしたいのがココナッツオイルMCTオイルです。ココナッツオイルの脂質は常温(25℃以下)で白く固まる、酸化しにくい飽和脂肪酸で、その約6割を占める主成分は中鎖脂肪酸という分子量の小さな脂肪酸です。中鎖脂肪酸(Medium Chain Triglyceride)は頭文字をとってMCTとも呼ばれます。最近では、中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルやパームオイルからMCTだけを精製して作った100%MCTのオイルも販売されています。

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脂肪燃焼を促進するココナッツオイル