中鎖脂肪酸は、他の脂肪酸と代謝経路が異なり、腸管からすぐに血液中に吸収され、肝臓で代謝されるという特徴があります。肝臓で「ケトン体」と呼ばれる物質に変化し、脳に運ばれて神経細胞のエネルギーになります。そのため、認知症や難治性の脳神経疾患に対してココナッツオイルが有用という報告も増えつつあります。
他にも、体内の脂肪燃焼を促進する働きがある、空腹感を抑えて食欲を制限するなどの効果も報告されており、糖質制限を行っている人には役立つでしょう。糖質制限を行うとき、体はエネルギー源を糖質から脂質メインへとシフトし、脂質の分解が進みケトン体が作られやすくなりますが、このときココナッツオイルをとれば、さらにケトン体の産生が進みます。
また、ココナッツオイルには「ラウリン酸」と呼ばれる中鎖脂肪酸の一種が約50%含まれており、これが体内で抗ウイルス成分に変化して天然の抗生物質のような働きをすると言われています。感染症予防や免疫力アップにも役立つ可能性があります。
ココナッツオイルをキッチンに常備して、炒め物などの加熱調理に利用するほか、カレーやヨーグルトに垂らしたり、コーヒーに小さじ1杯溶かしたりするのもおすすめです。和食には使いにくい印象もありますが、ココナッツの風味を抑えたものもありますので、用途に応じて合う製品を利用しましょう。高温処理された安価なものにはトランス脂肪酸が含まれていることもあるようですので、低温抽出の「エキストラバージン」オイルを選ぶことが大切です。