睡眠の乱れの結果として生じるおもな症状は、起床困難や日中の眠気。それにより、不登校や学校を退学になる子も少なくないといいます。

「睡眠不足は、認知能力や学習能力の低下のほか、いらいらなどの情緒の不安定、精神疾患や発達障害の発症リスク、将来の肥満のリスクにも関与してきます。たかが睡眠不足とは放置できない問題です」(同)

 しかし子どもの睡眠障害は、専門的に診られる医療機関がほとんどなく、小児科や児童精神科を受診して相談するしかないのが現状です。なにか、家庭でも対処できることはあるのでしょうか。重要なのは「小学校高学年まで」にデジタルデバイスを使う時間や時間帯、場所などを親子で話し合って決めておくことだそうです。

「思春期になると親の言うことを聞かなくなり、ルール作りはまず無理です。そうなる前に、しっかりルール作りをしておきましょう」(同)

 子どもの場合は、睡眠障害の治療をどのようにおこなうのでしょうか。

「6~15歳の神経発達症を伴う入眠困難な子どもに対しては、20年にメラトニンを含む薬(製品名・メラトベル)が保険適応となりました。メラトニンは脳内でつくられる『睡眠ホルモン』で、眠りにつきやすくする作用があります。ただし、睡眠の質を上げる作用はありません。子どもの睡眠障害の治療の基本は、生活リズムの改善指導が中心です」(同)

 生活習慣で大切なのは、①毎朝決まった時間に起き、②朝の光を浴び、③起きて2時間以内に朝食をとること。これにより体内時計が正常に戻ります。メラトニンは朝の光を浴びると、14~16時間後に脳の松果体から分泌されます。

「子どもの場合、生活リズムさえ整えることができれば、睡眠のリズムも徐々に戻ってくるケースが多い」と安達医師。

 一方で、睡眠のリズムは一度崩れると、すぐには正常に戻りにくいという特性もあります。子どもの場合、普段より1時間遅く寝るだけでからだは時差ボケ状態となり、睡眠リズムもすぐに崩れていってしまいます。

「とくに、体内時計が未熟な子どもの場合、休日も遅寝は厳禁です。遅寝をしたとしても、1時間以内にしておきましょう」(内村医師)

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中枢神経系の異常による過眠症「ナルコレプシー」の可能性