「家族ぐるみで睡眠リズムを整えることが大切です。小学生未満の子どもがいる場合、親はできるだけ、子どもの生活リズムに合わせて生活するようにしましょう。そうすれば、子どもも自然に睡眠リズムを整えることができます」

 骨や筋肉などを発達させる「成長ホルモン」の分泌もまた、睡眠と関わっています。成長ホルモンは時間帯にかかわらず、就寝後最初の90分の深い眠り「ノンレム睡眠」中に脳下垂体から分泌されるためです。

「子どもの場合、睡眠が浅くなると、この成長ホルモンの分泌が低下してしまうこともあります。睡眠時間だけでなく、よい環境で深い睡眠がとれているか。睡眠の質も大切です」(内村医師)

 睡眠の質を低下させる要因に、「睡眠時無呼吸症候群」が関係しているケースもあるといいます。そのおもな原因はアデノイドや扁桃(へんとう)肥大です。2~3歳からの発症が多いとされています。

「毎日いびきをかいていたら、早めに一度、耳鼻科を受診しておきましょう」(同)

小学生以上の睡眠障害はデジタルデバイスの影響が大

 小学生以上の子どもの睡眠障害についてはどうでしょうか。長年、子どもの睡眠障害の治療に携わる昭和大学病院東病院睡眠医療センター長の安達太郎医師は、「子どもの睡眠障害の約9割は、スマホやタブレットなどのデジタルデバイスの長時間の利用による影響」と指摘します。

「子どもは大人よりも集中力が高いため、ゲームのほか、次々と動画・ライブ配信などが見られるSNSなどに没入しやすく、依存性も高まりやすい。デジタルデバイスの長時間の使用で生活リズムが乱れ、寝不足は悪化します。運動量の不足で眠くなりにくくなり、モニターから出るブルーライトもカフェインと似た覚醒作用を及ぼすため、睡眠の質も低下してしまいます」(安達医師)

 とくに深夜のオンラインゲームの弊害が深刻だと、安達医師は感じているようです。子どもは課金が難しいため、大人がプレーする夜に一緒にプレーして、無料でアイテムなどを手に入れようとする子もいるとのこと。ゲーム依存の深刻な状況をWHO(世界保健機関)も世界的な問題として危惧しています。19年5月には新たな病気として「ゲーム障害(Gaming Disorder)」と名付け、国際疾病分類に加えました。

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おもな症状は、起床困難や日中の眠気