AIが車を運転する時代になった。自動運転のAIに使用されているのが「ベイズ統計学だ」。この理論は「“キリストの復活”が起きた確率は低い」と書かれた本を読み怒ったベイズ牧師が、奇跡を立証するために考え出したものだ。メガバンクでクオンツ(金融に関する数理分析の専門職)として信用デリバティブや日本国債・日本株の運用を担当し、ニューヨークのヘッジファンドを経て、保険会社の運用部門に勤務している冨島佑允氏の新著『東大・京大生が基礎として学ぶ 世界を変えたすごい数式』(朝日新聞出版)では、自動運転のAIやインターネットの検索にも使われる、いまやなくてはならない「ベイズ統計学」の成り立ちと注目されている理由について述べられている。一部を抜粋、再編集し、紹介する。
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「キリストの奇跡」が起きる確率
ここでは、車を運転するAIが登場します。この車を運転するAIに使われている数学理論が、キリスト教の論争から生まれたものと聞いたら驚くでしょうか。
近年、統計学がビジネスのさまざまなシーンで当たり前のように使われるようになりました。特に、人工知能の分野で注目されているのが「ベイズ統計学」と呼ばれる統計学の新分野です。