死者の復活があり得ない話(=発生確率が低い)であっても、多くの人がそれを目の当たりにして経験しているという事実を考慮すると、それは実際に起きた(=発生確率が高い)といえるのだということです。

 ベイズは、この考え方を数学の言葉で表現したのです。

 その後、ベイズの試みに賛同したプライス牧師によってこの考え方が広められ、さらに数学者ピエール・シモン・ラプラスの目に留まり、彼の手によって数式の形で表現されました。

 こうしてベイズの定理が誕生したのです。

事後確率=新しいデータの影響×事前確立

18世紀から寝かされつづけた「ベイズの定理」

 しかしベイズの定理は、長い間日の目を見ることがありませんでした。というのも、経験を考えに入れる前のそもそもの確率、すなわち「事前確率」(ベイズのオリジナルの考え方では、死者が生き返る確率)を客観的に決める方法がわからなかったからです。

 ベイズは、死者が復活する可能性を「きわめて低いがゼロではない」と考えたのですが、この考え方に納得しない人も少なくないでしょう。

 また、ベイズの定理を実社会に応用するためには膨大な計算が必要になるため、応用という意味でも現実的ではありませんでした。

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これまでの統計学とは違う「ベイズ統計」