しかし、私たちはそれだけではなく、第1次世界大戦の時に、フランスと裏で結託したイギリスにパレスチナ独立という甘い言葉で騙されたパレスチナ人の悲劇や、同じく建国の約束を得ていたイスラエルが、一方的に独立を宣言し、国連の決議などを無視して強引にパレスチナに植民=占領行為を行っていったという経緯も概要だけかもしれないが、理解していたように記憶している。ただし、多くの人はいつの間にか忘れてしまったようだ。
そうした背景があるので、私が今回のハマスの攻撃を知った時、ハマスはこんな酷いことをするのかと驚いたのはもちろんだが、それと同時に、ここまで追い込んだのは、イスラエルと米国だという考えが条件反射的に頭の中に湧き起こった。
ハマスの攻撃は許されないにしても、イスラエル「政府」が行っていることは、それ以上に非人道的で許されないことだということを瞬間的に理解できる日本人がどの程度いたのか。いなかったとしたら、それは教育の問題なのだろうか。
さらに、私にはもう一つ疑問に思うことがある。
それは、今回の事件が10月7日に突然始まったのではなく、何十年も続いたイスラエルによるパレスチナに対する国際法違反の度重なる虐殺の黒い歴史の中で起きた事件なのだということを、なぜ最初にマスコミが大きく伝えなかったのかということだ。
やはり、日本政府が米国に無条件に従うことが慣例となってしまったこの10年で、米国に反対する言論を展開することを日本のマスコミが躊躇するようになったのだろうか。
TBSなどは比較的早く、こうしたニュアンスを伝え始めたが、それでも、ジェノサイドを止めろという強い言葉は出て来ない。それは、危機感がないからであり、多くの場合は、戦争からは何も生まれないとか弱者ばかりが悲惨な目に遭っているとか、憎悪の連鎖を断ち切らなければというようなありきたりのコメントとともに、最後は、「しっかり注視していかなければなりませんね」というようなまとめで終わってしまう。