一方の日本は、「総合的判断」というだけで、明確な理由も示さず棄権した。もちろん、世界中が、日本は人権には無関心だと見抜いているし、米国の属国であるということもわかっているから、特に驚いてはいないはずだ。だから日本をことさらに批判する国はない。それをいいことに、日本は単に米国の顔色をうかがいながら行動しているのだ。
さらに問題なのは、岸田文雄首相に、今回の判断をするにあたって、悩んでいる様子が見えないことだ。なぜ、悩まないのかというと、おそらく、「日本の国民はバカだから、イスラエルとパレスチナの問題など理解できない。とりあえず、アメリカに寄り添う判断を見せていれば特に強い批判の声は出ないだろう」と考えたからではないだろうか。
確かに、この戦争を見ていて、驚いたことがある。それは、多くの日本人が、パレスチナとイスラエルの歴史を全く知らないように見えたことだ。
私が中高生だったころ(1970年ごろ)、何で習ったのかは定かではないが、私も私の友人たちも、パレスチナ問題といえば、いつもイスラエルがパレスチナ人に酷いことをしているというイメージで捉えていた。
当時は、ベトナム戦争が若者の関心の中心になっていたが、そこでは米国が悪者だった。その米国が応援するイスラエルがパレスチナを攻撃しているとなれば、当然悪いのはイスラエルで正義はパレスチナにありということになる。