したがって、イスラエルの行為は「ジェノサイド」と言うべきなのだ。
ハマスのイスラエル民間人に対する攻撃はテロ行為であり、もちろん、国際法違反だが、だからと言って、その報復のためにジェノサイドが正当化されることにはならない。
マスコミは「停戦」「休戦」という言葉を使っているが、「ジェノサイド停止」という言葉を使った方が、より物事の本質と緊急性が理解されるだろう。
日本は残念ながらジェノサイド条約を批准していない。だから、ジェノサイドを止めてその犯罪者を処罰する義務を負っていないという議論を見たことがあるが、これは間違いだ。なぜなら、日本は国際刑事裁判所に関するローマ規程に加盟しており、その中で、ジェノサイドは犯罪として定義され、処罰すべしと書かれているからだ。
したがって、日本は、ジェノサイド条約に加盟していなくても、少なくとも道義的には、ジェノサイドを見て見ぬ振りをするわけにはいかないはずだ。
ところが、日本は、このジェノサイドを止めようとする世界の動きに対して、完全に反対の動きをしている。国連安保理に提出された即時停戦を求める決議案に米英などとともに反対しただけでなく、国連総会では、人道的休戦を求める決議に対して棄権した。この決議案には、121カ国という圧倒的多数が賛成し、反対したのは米国などわずか14カ国だけで、棄権も44カ国にとどまった。米国の同盟国は米国に追随して反対ないし棄権したと思っている人が多いかもしれないが、NATO加盟国のフランス、ベルギー、スペインなどは賛成している。米国の言いなりなどにはならず、独立した判断を示したのである。