恋愛って子どももお年寄りも誰でもする資格を持っていますが、好きな人を一人選んでその人と長く付き合うという、今たまたま良いとされている恋の形は向き不向きがあるし、別にしなくても良いというのが暫定的な私の意見です。周囲を見渡しても、恋愛しているととても幸福そうで肌も艶やかという人もいれば、恋愛していない期間はまっとうで頭の良い人なのに恋愛すると行動から何からすごくダサくなる人もいませんか。向いている人と同じくらい向いていない人はいると思うので、私は割と開き直って恋愛がうまくいかない女友達同士でつるんでいます。恋愛もセックスも仕事もスポーツも勉強も友人関係も、好きなものをいくつか組み合わせれば時間が潰れますし、生活のパートナーや子育てのパートナーが欲しくなった場合には別に恋愛なんかを起点としない関係で十分成立する、と、最近『SPY×FAMILY』とか是枝作品の家族像を見て楽観的に解釈しています。

 私もそうですが、特に女に容姿のコンプレックスを持つように煽って、そこに商機を見いだすこの社会では、何かしら自分の容姿に気になる箇所ができるのが普通だとも思います。自己評価が低いと恋愛がうまくいかないとよく言われますが、そんなこと言われても急に自分の顔が可愛く思えるものじゃないし、人間的にはえらく自己評価が高い人よりも、コンプレックスを抱えながらなんとか自分の価値を見つけようとしている人の方が他者に対する想像力を持てる上に、複雑で繊細で魅力的だと思っておくことにしています。それが原因で相手に合わせてしまう、理不尽なことを呑んでしまうと思っている場合、九割は選ぶ相手の性格に問題があるだけなので気に病む必要はありません。無理にレベルの低い男と付き合う必要もないけど、もっと上狙えるのにもったいないよーと言ってくる女友達や、自分を好きになろう的な瞳孔開いた女性誌コピーは無視しましょう。

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好きな人の前では“心持ち”なんて吹き飛ぶ